行きつけの喫茶店で、S女史にばったり会った。仕事の合間、ちょっとひと休みらしい。常々、わたしは彼女の情報には硬軟取り混ぜて、関心を持つことが多いのだが、今日おもむろにバッグから出した小物にハッとさせられた。いわゆるIT関連の企業に勤める彼女の小物には、人知れずときどきハッとするのだ。まぁどうでもよいことなのだが、わたしと電子辞書との出会いは、まさにそのときだった。
必要から洋書を読むことも多い。いつも英和辞典を持ち歩いている。が、かさばるし重い。コンピュータにも入れてある。が、起動が遅くて調べたい時にすぐ引けない。いきつけの喫茶店にも英和辞典を置いてある。が、電車などに乗っているときに限って調べたくなることも多い。かさばらず、軽く、手軽な辞典はないものだろうか。
原稿を出先で書くことも多い。漢字などのド忘れは、コンピュータの変換機能で多くの場合、何とかなる。しかし、自分のよく使っている表現が本当に適当かどうか、ときとして不安になる。四字熟語が適切な意味で使っているかどうか自信がなくなることも多い。
出先でよく使うサブ・マシン(PSION 5mx)は、辞書データを変換しビューワで読むということも可能なようだが、まずその前提となるデータがないし、加工もちょっとたいへんそうだ。不便を不便とも思わず、なんとなく辞書を持ち歩いていたのだが、電子辞書を見た時、正直、「これがあったか」と思った。どうも電子辞書というと大きく無骨なイメージがあったので、わたしの触手が伸びなかったのだが、彼女の持っていた電子辞書はホントに小さかった。こんなものまで出ているのかと思い、無性に電子辞書についていまどんなものが出ているのか調べてみたくなったのである。(つづく)