ディスクロージャーの代償としての特許権
発明の哲学:発明はこれまでこの世になかった新規なものであり、ありふれた進歩を超えたものであるから、これを発明者に独占させたとしても、公衆から何も奪うわない。
特許の触媒作用:発明者が発明を世の中に公開する代償として、独占権を与えれば技術の公開が促進され、発明を刺激することが期待できる。
特許は発明に対する報償であるという米国の理論と、特許は発明の公開に対する報償であるという英国の理論は、どちらも、特許権が成長したほんとうの理由に触れていない。特許権は、本来、発明又は公開の刺激物としてではなく、資本の投下及びこれを可能にする保証を必要とする新しい方法の利用及び開発のために、みずから確立したのである。(フリッツ・マッハルプ『特許制度の経済学』(1903年))
特許制度の弱点(「発明」の定義の難しさ、技術の陳腐化にあわない存続期間)
研究開発投資の保証的機能(特許制度の果たしている機能は、発明促進の装置か、発明者保護か、はたまた研究開発投資の保証か・・・)
半導体企業は、かつてとは比較にならないほど周囲の垣根を高くした。内部の人材や知的財産を抱え込もうとして、裁判沙汰になる場合も珍しくなかった。各企業は特許権を大いに活用し、ライバル企業から高額のロイヤルティを引き出すため、あるいはクロスライセンス契約を結ぶための武器として使われた。(ティム・ジャクソン著『インサイドインテル』(1997年))
まねをされたら水の泡(発明や新製品を真似されないための方策(ソーテック事件:不正競争防止法(商品等主体混同行為)))
セカンドランナーからの攻撃(特許出願を怠り放置しておくと、次の発明者に特許をとられ、逆に侵害として訴えられることになる。但し、先使用権(特許法79条)を立証した(できた)場合は別。)
デザイン・アラウンド(design around)、そしてブロッキング・パテント(blocking patent)
特許を武器に日本進出を果たした米国企業(IBM:コンピュータ特許を日本企業にライセンスするのと引き換えに、わが国に進出、TI:IC(集積回路)の基本特許(キルビー特許)を武器に通産省と交渉、後にソニーとの合弁で日本テキサス・インスツルメンツを設立)