モバイル・バンキングは必要か―i-modeから「お金」を考える(その一)


二年前に買ったお気に入りの携帯電話も、いまや機能・デザインともに数世代前。重さもちょっと気になり始めました。でも、ホントをいうと、いま流行りのi-mode(アイ・モード)がわたしの物欲をソソったことは否定できません。

昨日、とうとう新しい携帯電話を買ってしまいました。もちろん、i-modeです。

i-modeは、最近、累計600万台を達成し、NTTドコモ携帯電話利用者の約20%を占めています。書店にはこれに関するノウハウ本や雑誌がヤマと積まれています。

このサービスは、携帯電話端末でホームページの閲覧、Eメールの送受信やチケット予約など、その機能は多岐にわたっていますが、これらの中の一つの目玉として、モバイル・バンキングをあげることができるでしょう。これは、携帯電話端末を使って、自分の銀行口座にアクセスし、振込・振替や残高照会ができるサービスです。都銀はいうに及ばず、全国の地銀、信用金庫・信用組合から郵便貯金・農協にいたるまでこのサービスは利用可能となっています。

しかしよく考えてみると、公共料金や家賃などの支払いは銀行の自動引落としサービスを利用すればよいし、振込は書籍類の購入や学会費支払いの際にその都度近くのATMで行えばよい(年に数回程度しかありませんので)。商売でもしていない限り、そうそう頻繁に利用するサービスではない、というのがわたしの率直な感想です。むしろ、御祝い事や習い事の月謝等のため、しばしば銀行でピン札(新札)に両替してもらうことがありますが、あの銀行の混みようは何とかならないものでしょうか。番号の書き込まれた整理券を受け取り、抑揚の無い機械音で番号を呼ばれるまで過ごす時間ほど無駄に感じるときはありません。これから、金融機関はどんどん統合化され、店舗数もいまよりずっと減ることになれば、きっとこの混雑は今後も続くことになるのでしょう。

モバイル・バンキングのみならず、街角やコンビニに設置されたATM、24時間現金引出可能なキャッシュコーナー、そして自宅の電話から銀行口座にアクセス可能なテレフォン・バンキング・・・。これらはいずれも銀行店頭での処理の混雑を緩和する手段として期待されているものかも知れません。お金の出し入れができるところが身近にあるということは、本当に便利です。わたしが近頃住みついた「お台場」には、小さなキャッシュコーナーがわずか二ヶ所しかありません。そう、銀行が無いのです。

いずれにしても、わたしのモバイル・バンキングは、公共料金や家賃の引落としのお知らせがあったときに、口座にきちんとお金が入っているかどうかを確かめる残高照会サービスだけになりそうです。


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