近頃、巷ではキャラクターがあふれ返っています。テレビCMや雑誌広告にもキャラクターは欠かせません。お菓子、オムツ、パソコン、携帯電話のストラップ、預金通帳等々キャラクターでいっぱいです。「ハロー・キティ」の流行…。通帳にまでキティちゃんが現れ、通帳欲しさに口座を作るのは何も珍しくありません。「だんご3兄弟」の大ブレーク…。歌のヒットのみならず、次に来るのはグッズ化の波でしょう。会社は商品化の問い合わせに大わらわだそうです。
なぜ、これほどまでに企業は、キャラクターの創出や利用に熱心になるのでしょうか。それは、キャラクターが、商品・サービスの販売に大きく貢献しているからなのです。キャラクターは顧客を魅きつけ、それゆえに大きな経済的価値を有するようになりました。そうなると、人気のあるキャラクターを勝手に使ったり、マネをしたりする人のことも考えねばなりません。
では、キャラクターを利用するとは一体どうすることなのでしょうか。そして、そもそもキャラクターとは一体何なんでしょうか。通常、キャラクターは、商品の図柄として使用されたり、人形とかに再現されたり、広告などに使用されたりしています。キャラクターは、漫画やアニメを元にしていることが多いので、著作権と関係がありそうです。法律上、著作物として保護を受けるには「思想又は感情を創作的に表現」していなければなりません。「だんご3兄弟」の場合…。某局で放送されている歌と絵、これらはいずれも著作物です。これをみて街のお団子屋さんが、団子を三つ、串に刺してお醤油を塗り、顔をかいて売ったとしたら…。また、携帯電話のストラップに「―3兄弟」のマスコットをつけて売ったとしたら…。
さて、どうなるでしょう。これらは原画のワンシーンを描いているわけではありませんね。しかも、立体化されています。でも、わたしたちはそれらをみてきっと「―3兄弟」と思うことでしょう。串に刺さった三つの団子にそれぞれ眉、目、鼻そして口が描かれている、こうした特徴を抽象的に捉えて「―3兄弟」と認識しているのです。確かに、原画では三男の「串団子さぶろう(本名です!)」は、ちょっと上目使いで鼻がツンと上を向いていますが、場合によってはそこまで忠実に描かれていなくても、わたしたちは「―3兄弟」を認識することは可能です。そうだとするとキャラクターとは、歌や絵等から抽出された一連のイメージといってもよいかも知れません。頭の中で思い描くものですから「人間の知的・精神的活動の成果」ですが、「表現」されたものではありません。つまり、キャラクターそれ自体は著作物ではありません。そうなると、キャラクターの利用例である絵入りみたらし団子とストラップのマスコットは何なんでしょう。キャラクターを具体化してはいますが、「創作性」を認めるのは困難です。どうもこれらも別個の著作物としてみるよりは、原画の本質的部分を複製した物としてみるほうが妥当なようです。となれば、当然、商品化に当たって「―3兄弟」の著作者にきちんと利用の許諾を受ける必要があります。ただし、これは原画(著作物)の複製としてだけではなく、イメージ概念であるキャラクターの利用をも含めた許諾を意味しています。どうしてこのように幅広い範囲で利用を認めてもらう必要があるか分かりますね?因みに、これを実務上「商品化権」と呼んだりしています。