7月に入って早々、週末の三日ほどを利用して故郷の北海道へ行ってきました。まだ夏休みでもありませんし、ウィークデーには講義が入ってます。なぜこの時期に?と聞かれそうですが、それにはそれなりの理由があります。
国内線の「バーゲン型」運賃というのをご存知でしょうか。今年の4月に出来た国内全路線全便を一律の金額(今回は1万円)で利用できる航空チケットです。
もともと梅雨の脱出を狙って北海道旅行を計画していたので、ゴールデン・ウィークあたりから航空券の予約を考えていました。しかし、これまで旅に全く関心がなく、独身貴族を謳歌していたわたしは、チケット予約の仕方もろくに知りません。しかも実家に帰るときはいつも、まるで電車やバスを乗るかのようにその場でチケットを購入し、飛行機に乗っていたのです。でも、今回は違います。こんなことをしていては、交通費だけで妻と二人で往復10万円余りもかかってしまいます。
というわけで、連休中、誰もいない大学の研究室に出勤し、とりあえず航空各社のホームページを眺めることから始めました。
すると驚いたことに、東京・札幌間だけ見てもわたしの頭ではとうてい処理できないくらいたくさんの割引条件が出ています。往復割引や早割(早期購入割引)、シルバー割引や介護割引なんてのもあります。さらにインターネットによる予約にも割引があります。航空旅客運賃については、かなり早い段階から規制緩和が行われ、運賃の設定・変更には、行政の干渉がより少ない、運輸大臣に対する「届出」(「認可」ではない!)でよいとされています。この当然の帰結として、各航空会社は、思い思いの条件を設定し、現在のような多様な運賃が見られるようになったのです。(なお、他方で、正規料金の値上げが行われています…。)
さらに驚いたことは、ココ(研究室)でチケットを予約できるばかりか、空席の状況までリアルタイムで表示されることです。わたしが購入した「バーゲン型」チケットは、予約期間や搭乗日(期間)が限られています。したがって、予約期間が始まるとあれよあれよと面白いように予約が埋まっていきます。そして、その状況がパソコンの画面上に時々刻々表示されていきます。埋まっていく席を見ながら、あおられるようにわたしは決断しました。「この日に帰ろう…」。
そんなこんなで、冒頭のような中途半端な日どりで、梅雨空の中、ひそかな首都脱出が実現したのです。二人で往復総額4万円。航空チケットは、店頭に出向いて予約・購入するのがあたりまえ。わざわざ足代を払ってくるんだから、このような客こそ大切にすべきであると私たちは考えがちです。しかし、そうした顧客に対応する人件費も企業の立場から見るとバカになりません。予約システムを自動化し、そのシステムをインターネットに公開することで、自宅のパソコンや携帯電話で予約・購入できるようにする。これまで旅行代理店や航空会社がやっていたことを顧客が自らの手で行う。むしろ、この手間を代わりにやってあげるんだから、その分安くなって「あたりまえ」と考えるべきなのかもしれません。