研究活動

 研究分野は大きく分けて経済・法律・行動科学の三部門に分けられます。

経済部門

経済部門は実証理論分析(計量経済学)を主とし、各種基礎研究を行うとともに、それらの総合作業としてKEO一般均衡多部門モデルを構築し、日本経済の構造変化の分析を行っています。

 さらに経済予測のための用具として、また政策・制度策定・評価の基準として要請される普遍的な理論モデルを展開し、その実証のためKEO Databaseと呼ぶデータベース等の統計情報体系の整備に努力しています。具体的には、理論と観測とは一体不可欠であるとの認識のもとに、生産物・労働・資本市場の定量的な特性と市場間の相互依存・波及関係を解明するための研究調査を積極的に進めています。

 「経済活動と環境保全」も近年の研究の大きなテーマの一つです。持続的成長を可能ならしめたるための諸条件や経済政策のありかたについて、経済モデルによるシュミレーション実験や環境分析用産業連関表を用いた分析によって研究がすすめられています。

 また、「投機的市場における価格形成」も新たなテーマの一つです。不確実性の支配す市場への立ち入った分析により、市場参加者の予想形成、取り引きの行動、価格形成の仕組みを明らかにすることにより、株価・為替レート・先物価格・オプションプレミアムなどの投機的価格を高い自律度をもって説明することを目標としています。

法律部門

 法律部門は労働法と経済法の研究が中心で、実際の労働問題や独占禁止政策のあり方などにつき、専門知識の具体例への適用を含めて研究しています。判例および法令に目配りしていることはいうまでもありません。

 また国際比較にも力を注いでいます。労働法部門では、労働時間や男女雇用均等、ならびに労働組合の組織と不当労働行為制度に関する比較研究を行っています。経済法部門では、ガット(GATT)のほか日本とEU・EU諸国やアメリカの独占禁止法に関する諸問題を調査・研究しています。

行動科学部門

 行動科学部門においては、主として企業における能力開発や人材発掘に応用されるパーソナリティ診断テストの研究や、都市におけるコミュニティー形成の社会的・心理的基盤などに関して、フィールド・サーベイや聞き取り調査に基づいた研究が為されております。

3部門合同プロジェクト

 これからの各部門別のプロジェクトの他に、3部門合同プロジェクトとして、「労働市場と規制緩和」のプロジェクトが平成6年から発足しております。異部門間の交流により労働市場の規制緩和の諸問題について、経済分析者、労働組合、経営者、人材関係企業、労働法学、それぞれの視点からの新しい知見がえられています。

国際交流

 当研究所の研究上の国際交流は近年ますます活発となり、各部門とも国際学会と緊密な情報交換を維持するため、研究員の海外派遣のみんならず、各国より訪問教授・訪問研究員の受け入れを行っており、各国の大学・研究所との共同研究プロジェクトも盛んに行われています。米国ハーバード大学との共同研究も永年に渡り継続されており、韓国、台湾、中国を含む生産性の比較と国際競争力に関しての研究プロジェクトへの拡大へと進んでいます。さらに、中国国家統計局との共同研究として、中国の環境問題について研究が行われています。また米国バージニア大学との共同研究として、日米の先物とオプションの価格形成メカニズムの比較研究も行われています。