■■慶應義塾大学産業研究所[独占禁止法セミナー]■■


開催日:平成14年11月7日(木)〜平成15年2月20日(木)18:30〜20:30

会場:慶應義塾大学産業研究所(東京都港区三田2-15-45)

主催:慶應義塾大学産業研究所


■ 本講座の対象及び目的

現代において、独占禁止法の社会的役割やその重要性は、企業社会そして国民一般にも広く認識されており、いまや企業がその事業活動を展開していく上で常に意識されるべき重要なルールとなっています。

本講座では、主に実務家や企業法務担当者を対象に、独占禁止法及びその解釈指針(ガイドライン)の法適用上の諸問題を、主に理論的見地から検討を加えていきます。

議論の素材には、公正取引委員会の解釈指針とされているガイドライン、これまで取り上げられた違反事例、また解釈・運用に大きな影響を及ぼしたエポックメーキングな事例などを中心に取り上げていきます。さらに、近時、企業において独占禁止法の取り扱いが問題となった案件を、受講者の問題提起や公正取引委員会が公表している相談事例集の中に見出し、可能な限り数多くの具体的事例を参照しながら、その実践的な対応を議論していくことにしたいと思います。

本講座では、独占禁止法や運用上いまや無視することができなくなったガイドラインの解釈・理解を中心に、具体的事例などを通して、ともすれば専門的で複雑な議論に終始しがちな法律論をできるだけ分かりやすく説明し、この法律の基本的な考え方やその実践的な対応をナビゲートすること、ひいては企業の事業活動における法的リスクの縮減を狙いとしています。


■ 講座概要及びスケジュール

第1回(11/07):開講ガイダンス-講座のすすめ方と独占禁止法の主要内容

1.はじめに(本講座のすすめ方について)

2.独占禁止法の主要内容(独占禁止法の目的と構成・規制の概要)

3.近時の動向(独占禁止法のエンフォースメントと最近の動き)

第2回(11/14):競争政策及び公正取引委員会をめぐる論点-「21世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会」提言書を題材に

1.提言書『21世紀における競争政策と公正取引委員会の在り方』の概要

2.提言書の整理と問題点の検討

第3回(11/28):カルテル・談合・ボイコット(I)-不当な取引制限の禁止をめぐる諸論点

1.不当な取引制限における「共同性」

2.共同行為の立証

3.事業者団体規制と事業者団体ガイドライン

4.具体的事例の整理と検討(新聞販路協定事件・東芝ケミカル事件…)

第4回(12/05):カルテル・談合・ボイコット(II)-入札談合と独占禁止法

1.入札談合めぐる現状とその法的構成

2.公共入札ガイドラインの整理と検討

3.「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」の整理と検討

2.具体的事例の整理と検討(湯浅木材ほか事件・協和エクシオ事件…)

第5回(12/12):カルテル・談合・ボイコット(III)-不当な取引制限としての共同取引拒絶(ボイコット)

1.流通・取引慣行ガイドラインの問題点

2.具体的事例の整理と検討(ロックマン工事施行業者事件)

第6回(12/19):独占行為の規制-私的独占の禁止をめぐる諸問題

1.私的独占をめぐる判例と公正取引委員会の運用

2.「支配」・「排除」の意義

3.具体的事例の整理と検討(野田醤油事件・東洋製罐事件・その他最近の事例…)

第7回(01/16):流通過程における不公正な取引方法-流通政策と拘束条件付取引

1.不公正な取引方法の意義と内容

2.流通過程における不公正取引-流通・取引慣行ガイドラインを題材に

3.具体的事例の整理と検討(資生堂事件・花王事件・ソニーコンピュータエンタテインメント事件…)

第8回(01/23):不当廉売・差別対価-価格をめぐる企業行動と独占禁止法(I)

1.不当廉売ガイドラインの整理と検討(安値入札問題を含む)

2.流通・取引慣行ガイドライン・酒類ガイドライン・ガソリン流通ガイドラインのポイント

3.具体的事例の整理と検討(北国新聞事件・東洋リノリューム事件・中部読売新聞社事件・マルエツ=ハローマート事件…)

第9回(01/30):再販売価格維持行為-価格をめぐる企業行動と独占禁止法(II)

1.再販売価格維持をめぐる判例と公正取引委員会の運用

2.流通・取引慣行ガイドラインの問題点

3.具体的事例の整理と検討(和光堂事件・ナイキジャパン事件・ハーゲンダッツ事件…)

第10回(02/06):知的財産権の権利の行使と独占禁止法(I)-「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の考え方」を題材に

1.知的財産権と独占禁止法

2.特許・ノウハウライセンスガイドラインの整理と検討

3.具体的事例の整理と検討(三共ほか10名事件…)

第11回(02/13):知的財産権の権利の行使と独占禁止法(II)-「ソフトウェアライセンス契約等に関する独占禁止法上の考え方」を題材に

「ソフトウェアライセンス契約等に関する独占禁止法上の考え方」の整理と検討

第12回(02/20):企業結合規制をめぐる現状と課題

1.企業集中行為に対する規制の内容と運用の実態

2.富士・八幡製鉄事件

3.いわゆる「企業結合ガイドライン」のポイントと問題点


■ 参考文献

最近出版されたもので主要なものを挙げておきます。講座に併せ適宜参照していただきたい。

・『経済法概説』松下 満雄(東京大学出版会、第3版、2002年)3600円+税

・『独禁法概説』白石 忠志(有斐閣、第2版、2000年)2100円+税

・『独占禁止法概説』根岸 哲=舟田 正之(有斐閣、2000年)3600円+税

・『独占禁止法』金井 貴嗣(青林書院、新版、2000年)3600円+税

・『独占禁止法入門』厚谷 襄児(日本経済新聞社、第4版、1999年)860円+税

・『経済法講義』正田 彬(日本評論社、1999年)3600円+税

・『独占禁止法を学ぶ』正田 彬=実方 謙二編(有斐閣、第四版、1999年)2800円+税

・『経済法』金井=江口=山部=土田(有斐閣、1999年)2400円+税

・『独占禁止法』実方 謙二(有斐閣、第3版、1995年)4233円

・『[事例]独占禁止法』糸田 省吾(青林書院、新版、1995年)4900円

■ 申込み等必要事項

受講料:受講者一名につき35,000円

定員:20名(先着順にて受け付け、定員になり次第締切りとさせていただきます。)

申込方法:「受講申込書」に必要事項をご記入の上、郵便またはFAXにてご送付ください。申込受付後、請求書等をお送りいたします。(受講申込書は下記申込先までご請求ください)

申込先:〒108-8345 東京都港区三田2-15-45慶應義塾大学産業研究所

FAX:03-5427-1640

申込締切:平成14年11月1日

問合せ先:電話 03-5227-1597,メール office@sanken.keio.ac.jp