KEO Occasional Paper No.33(和文シリーズ)

「板寄せ法による模索過程の分析」


概要

 取引所係員(auctioneer)が仮約定値段を上下させて、売り合計と買い合計が一致したところを約定価格とする板寄せ法は日本独特の売買仕法であり、ザラバ法と対比される。この論文は板寄せ取引の模索過程を計量的に分析する初めての試みを報告する。 東京穀物商品取引所の1994年2月の2日間の米国産大豆先物取引を対象とし、コンピュータによる板寄せ法のシステム売買の仕組みを実例を用いて説明し、仮約定値段に対するハナ(市場超過需要)と会員の個別超過需要の動きをグラフによって解析した。次いで、会員の取引行動と予想形成について試論的なモデルを提示し、8つの会員についてその推計結果を示した。今回の分析は第一次接近に過ぎないが、その作業を通じて、板寄せデータが市場参加者の駆け引きや模索進行中の予想の修正などについて投機的市場の価格理論に寄与しうる情報を豊富に含む分析対象であることが明らかになった。
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