KEO Discussion Paper No.50

「日本の先物市場における日中効果」


概要

 東京穀物商品取引所で取引されている米国産大豆先物においては、出来高が1日の中で寄り付きと大引けに集中する。そしてボラティリティーが寄り付きだけで大きくなる。海外市場など一般にはボラティリティーと出来高は寄り付きと大引けの両方で大きくなるから、日本の米国産大豆先物市場は大きな特徴を持つ。本稿は混合正規分布仮説とノイズトレーダーを導入して作ったモデルを用いて、そのような日中効果が発生する原因を明らかにする。
 米国産大豆先物市場の場合、シカゴの指標市場(CBOT)の情報が夜間に流入し、日中は情報があまり入らないであろう。したがってボラティリティーが寄り付きで大きく、日中小さくなることは市場に流入する情報の個数が夜間に集中することが原因で生じていると考えられる。次に出来高が寄り付きで多くなることは市場に流入する情報の個数が 夜間に多くなること、及びノイズトレーダーが寄り付きで多く取引することが原因で生じていると考えられる。最後に出来高が大引けで多くなるのはノイズトレーダーが大引けで多く取引することが原因で生じると考えられる。
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