本講義(「経済法」)では、「独占禁止法」の体系的講義を行う。
独占禁止法は、昭和二二年(一九四七年)に制定されてから五〇年余りがすぎた。この間に、わが国の政治・経済は大きく変化し、わが国の経済を基本的に秩序付ける独占禁止法の内容、運用、解釈もそれに応じて変わってきたといえる。現在において、独占禁止法の社会的役割、そしてその重要性は国民一般に広く理解・認識されてきているといってよい状況にある。本講義では、「公正且つ自由な競争を促進する」ことを直接的な目的とする独占禁止法の体系・制度・事例・解釈等を通じて、現代経済システムを支える主要な制度(仕組み)の一つを理解してもらうことを狙いとしている。
講義は、他の法分野をすでに履修してからの受講が望ましいが、そうでなくとも理解できるように講義をする。ただし、分量的にはかなり多くの事柄を講義するので、相応の心構えをもって履修することを望む。
講義に関する情報は、あらかじめ(講義前の月曜日朝まで)ホームページにて提供していく。これが当日講義のレジュメとなる。
講義の内容は以下のとおり。
(1) 目的と構成
(2) 市場経済体制の法的基礎
(3) 執行体制(エンフォースメント)
(4) 沿革
(5) 規制の対象・手法及び分析の枠組
1) 私的独占の禁止
2) 不当な取引制限の禁止
3) 事業者団体の活動規制
4) 国際的協定・契約の規制
5) 企業結合規制
0) 序説
1) 不公正な取引方法(不当な取引拒絶)
2) 不公正な取引方法(不当な差別的取扱)
3) 不公正な取引方法(不当対価取引)
4) 不公正な取引方法(不当顧客誘引・取引強制・景表法)
5) 不公正な取引方法(不当拘束条件付取引)
6) 不公正な取引方法(取引上の地位の不当利用・下請法)
7) 不公正な取引方法(不当な取引妨害・内部干渉)
1) 持株会社の制限
2) 大規模会社の株式保有総額の制限
3) 金融会社の株式保有の制限
1) 独占的状態に対する措置
2) 価格の同調的引上げに対する報告徴収
1) 知的財産権行使行為に対する適用除外
2) 再販適用除外制度
講義出席時には、必ず六法を持参すること。六法は、容易に手に入るもの(例えば、『ポケット六法』等)で構わないが、できるだけ新しいもの用意すること。
教科書は特に指定しない。毎回講義ごとウェブを通じ、レジュメ・資料を配布する。講義週の月曜日早朝までにアップロードしておくので、以下のサイトを必ず参照し、ダウンロードの上講義に出席してほしい。
[OFFICE ISHIOKA] Home Page:【http://www12.u-page.so-net.ne.jp/ga3/ishioka/】
最近出版されたもので主要なものを挙げておく。講義に併せて適宜参照してほしい。
『独占禁止法』金井 貴嗣(青林書院、新版、2000年)3600円+税
『経済法講義』正田 彬(日本評論社、1999年)3600円+税
『独占禁止法を学ぶ』正田 彬=実方 謙二編(有斐閣、第四版、1999年)2800円+税
『経済法』金井=江口=山部=土田(有斐閣、1999年)2400円+税
『独占禁止法』実方 謙二(有斐閣、第三版、1995年)4233円
『[事例]独占禁止法』糸田 省吾(青林書院、新版、1995年)4900円