第4 流通業者の経営に対する関与
◇ 1 考え方
 メーカーは、流通業者との取引に当たり、契約条項等によって、メーカーが流通業者の経営に関与する旨を条件とする場合がある。具体的な義務付けの内容は様々であるが、例えば、流通業者が定款、事業内容、資本の額、役員、主たる株主、取扱商品、販売方法などを変更する場合には、メーカーの事前の承認なり協議等を義務付ける場合や、流通業者の販売状況に関する帳簿等の書類の提出を義務付ける場合がみられる。流通業者の経営に対する関与は、メーカーの販売政策を浸透させるためのほか、経営指導、債権保全、マーケティング情報の収集等様々な理由によって行われ、その行為自体が直ちに独占禁止法上問題となるものではない。
 しかし、経営関与の方法、程度によっては、流通業者の事業活動を制限し、又は流通業者に不当に不利益を与えることとなり、独占禁止法上問題となる場合がある。

◇ 2 独占禁止法上問題となる場合
  • (1)
     メーカーが流通業者の経営に対する関与を手段として、流通業者の販売価格、競争品の取扱い、販売地域、取引先等についての制限を行っている場合には、前記第一及び第二において述べた考え方に従って違法性の有無が判断される(一般指定11項(排他条件付取引)、12項(再販売価格の拘束)又は13項(拘束条件付取引))。
  • (2)
     メーカーによる流通業者の経営に対する関与が、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、兼業内容、販売数量等について過度の制限や義務を課すなどによって、正常な商慣習に照らして不当に相手方に不利益を与えることとなる場合には、不公正な取引方法に該当し、違法となる(一般指定14項(優越的地位の濫用))。
  • (3)
     なお、フランチャイズ・システムにおける、フランチャイザー(フランチャイズの本部)のフランチャイジー(加盟店)に対する経営関与については、「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」(昭和58年9月20日公表)を参照されたい。

    流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針
    経済法関連法令・ガイドライン
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