第2 一定の取引分野(4 その他)
 取引段階、特定の取引の相手方等その他の要素についても、上記と同様、当事会社グループとその取引の相手方との取引実態に応じて一定の取引分野が画定される。
  • <例1 消費財メーカー>
     自動車メーカーが他の自動車メーカーの株式を取得する場合において、国内自動車メーカーは、自社の自動車を販売するための販売チャネルを構築しており、当事会社は最終ユーザーに向けて商品開発や宣伝を行っている実態を捉え、自動車の製造・販売分野(メーカーから流通業者を経由してユーザーまで)に「一定の取引分野」が成立すると判断した(平成7年度)。

  • <例2 販社>
     特定のメーカーのトイレタリー製品の販売会社間の合併において、直接小売店に販売する直売ルートと、代行店(いわゆる二次卸売店)等に販売する卸売店ルートがあるが、大部分が直売ルートで販売していること、代行店等は小売店向けの販売において販社と競争関係に立つことから、全メーカーのトイレタリー製品の小売店向け販売分野に「一定の取引分野」が成立すると判断した(昭和62年度)。

  • <例3 医薬品卸売業>
     医薬品卸売業者間の合併において、一般用医薬品については、卸売業者を経由する場合が多いものの、一部直販メーカー(直接小売店に販売するメーカー)が存在することから、一次的には卸売業者の小売業者向けの販売分野に「一定の取引分野」が成立すると判断し、加えて直販メーカーを含めた小売業者向け販売分野についても「一定の取引分野」が成立すると判断された(平成9年度)。

  • <例4 卸売市場の卸売会社>
     花きの地方卸売市場を開設している2社が共同出資会社を設立し、共同出資会社が2社から営業譲受けをしようとする場合において、2社に登録している小売買参人が近隣の生産者、他市場の仲卸売業者等から直接仕入れを行っている実態にかんがみ、これらの取引を含め、当事会社の小売買参人向けの花き卸売分野に「一定の取引分野」が成立すると判断した(平成8年度)。

  • <例5 特定のユーザーの存在>
     X製品製造・販売業者が、A用途の共同販売会社を設立する場合において、X製品は、その組成・製造工程等により、用途別に区別することは不可能であるが、A用途は全国のユーザーを顧客とするのに対し、B用途及びC用途のユーザーは、販売する際の登録によって限定され、B用途及びC用途をA用途に転用すること又はその逆の転用はあり得ないこと、本件の新会社の取扱商品は、A用途に限定されること等から、A用途、B用途及びC用途のそれぞれに「一定の取引分野」が成立すると判断した(平成7年度)。


    株式保有、合併等に係る「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」の考え方
    経済法関連法令・ガイドライン
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