第1 競争への影響をみるべき企業結合(1 株式保有)
- (1)会社の株式保有
会社が他の会社の株式を保有することにより、株式を所有する会社(以下「株式所有会社」という。)と株式を所有される会社(以下「株式発行会社」という。)との間において結合関係が形成・維持・強化されるのは、次のような場合である。
- ア 株式所有比率(株式発行会社の発行済株式の総数に占める株式所有会社の所有株式数の割合をいう。以下同じ。)が50%を超える場合。ただし、株式発行会社の発行済株式の全部をその設立と同時に取得する場合は、通常、競争への影響をみるべき企業結合には当たらない。
- イ 株式所有比率が25%を超え、かつ、株式所有会社が単独筆頭株主の場合。
- ウ 上記以外の場合で、株式所有比率が10%を超え、かつ、株主順位が第3位以内のときは、次に掲げる次項を考慮して結合関係が形成・維持・強化されるか否かを判断する。
- (ア)株式所有比率の程度
- (イ)株主の順位、株主間の株式所有比率の格差、株主の分散の状況その他株主相互間の関係
- (ウ)株式発行会社が株式所有会社の株式を所有しているかなどの当事会社相互間の関係
- (エ)一方の当事会社の役員又は従業員が、他の当事会社の役員となっているか否かの関係
- (オ)当事会社間の取引関係(融資関係を含む。)
- (カ)当事会社間の業務提携、技術援助その他の契約、協定等の関係
- (キ)当事会社と既に結合関係が形成されている会社を含めた上記(ア)〜(カ)の事項
- エ 共同出資会社(2以上の会社が、共通の利益のために必要な事業を遂行させることを目的として、契約等により共同で設立し、又は取得した会社をいう。以下同じ。)の場合は、当事会社間の取引関係、業務提携その他の契約等の関係を考慮して競争への影響をみるべき企業結合であるか否かを判断する(共同出資会社の場合には、共同出資している株式所有会社相互間には、直接の株式所有関係はなくとも、共同出資会社を通じて間接的に結合関係が形成・維持・強化されることとなる。また、共同出資会社の設立に当たり株式所有会社同士の事業活動が共同化する場合には、そのこと自体競争に影響を及ぼすことにも着目する(後述)。)。
- (2)会社以外の者の株式保有
「会社以外の者」とは、商法等で規定される株式会社、相互会社、有限会社、合名会社、合資会社又は外国会社以外の者をいい、事業者であるか否かを問わない。具体的には、財団法人、社団法人、特殊法人、地方公共団体、金庫、組合、個人等株式を保有し得るすべての者が含まれる。
会社以外の者の株式保有についても、(1)に準じて判断することとなる。
- (3)結合関係の範囲
上記株式保有により当事会社(者)間に結合関係が形成・維持・強化される場合には、各当事会社(者)と既に結合関係が形成されている会社(者)を含めて結合関係が形成・維持・強化されることとなる。
株式保有、合併等に係る「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」の考え方
経済法関連法令・ガイドライン
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