• 3
     役務の委託取引においても、委託者と受託者がどのような条件で取引するかは、基本的にはそれぞれの自主的な判断にゆだねられるものであるが、委託者が受託者に対し取引上優越した地位にある場合において、その地位を利用して、受託者に対し、代金の支払遅延、代金の減額要請、著しく低い対価での取引の要請、やり直しの要請、協賛金等の負担の要請、商品等の購入要請又は役務の成果物に係る権利等の一方的な取扱いを行う場合には、優越的地位の濫用として問題を生じやすい(注6)。
     以下では、これらの行為について、優越的地位の濫用規制の観点からの考え方を示しているが、優越的地位の濫用として問題となる行為は、これに限られるものではない。
     また、役務の委託取引において独占禁止法上問題となるのは、優越的地位の濫用の問題に限られるものではない。
     したがって、この指針に取り上げられていない行為が独占禁止法上問題となるかどうかは、同法の規定に照らして個別具体的に判断されるものである。
  • (注6)
     委託者と受託者の間で取引の対象となる役務の具体的内容や品質に係る評価の基準、役務の成果物に係る権利等の取扱い等があらかじめ明確になっていない場合には、受託者にとって不当にこれらの行為が行われたと認識されやすいので、これらについてあらかじめ明確にし、委託時に書面を交付するなどの対応をしておくことが望ましい。

    役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針
    経済法関連法令・ガイドライン
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