T.「国際経済秩序」に関する研究プロジェクト

これまでウルグアイ・ラウンドの合意内容及び各国における法制度の改正・整備の状況等について検討した。そして、WTO協定がどのように実施されているかを特に紛争処理という側面から検討を加えていくことにした。

 

U.「独占禁止法の国際比較」に関する研究プロジェクト

米国、欧州連合、ドイツ、フランス、イギリスにおける独占禁止法(競争法)の最近の動きについて調査を行った。

 

V.「消費者行政の在り方」に関する調査研究プロジェクト

消費者をとりまく環境等の変化に伴い、消費者の意識も変化しつつある。また、消費者の価値観も多様化し、消費生活スタイルも変わりつつある。このような実態を前提に国・地方公共団体の消費者行政の在り方を調査研究した。

 

W.「保険業界と独禁法」に関する研究プロジェクト

規制緩和の進行の下、保険業界における事業活動と独占禁止法上の問題を検討した。その研究成果をまとめ、産研叢書『損害保険と独占禁止法』として出版予定。

 

X.「不当労働行為制度の現代的課題」に関する研究プロジェクト

第2巻第1号

 

 

Y.「労働契約の現代的課題」に関する研究プロジェクト

   現在、内藤恵がイギリス労働法における整理解雇法理と我が国の比較研究を継続中である。本年夏までに論文の形でまとめる予定である。

 

Z.「EU労働法の形成」に関する研究プロジェクト

  内藤恵を中心に、研究を継続中である。

 

 

行動科学部門

 

T.「Work & Family Interface」に関する研究プロジェクト

日本労働機構(Japan Institute of Labour)の総合研究プロジェクト「集団帰属意識の変化と職業生活」の第6部会として研究を展開した。関連先行研究のレヴューをすすめ、新たな探索的調査に向けての調査を実施した。関連した研究アウトプットは、以下のとおりであった。

 

U.「情報とコミュニケーション」に関する研究プロジェクト

とも当然ともいえる特徴についての仮説――」 人材教育7月号

of Meetings Journal of Organizational Computing and Electric

Commerce Vol.7 no.1

サーチVol.42 No.9

No.20

 

V.「企業内労働市場」に関する研究プロジェクト

in Japan Companies.” 『組織行動研究』(産業研究所モノグラフ No.28)

第15巻第2号

第8号

Performance” Presented at the Session on East Asian HRM,the

Annual Meetings of the Industrial Relations Research Association,

Chicago, IL.

 

W.「外資系企業の人的資源管理」に関する研究プロジェクト

このプロジェクトでは、今年度、4回の研究会を開催し、そこでいくつかの企業の人的資源管理について、ヒアリングを行った。参加した企業は、日本テキサスインストラメンツ、ジョンソンアンドジョンソンの2社であり、その他に、100%外国資本ではないが、富士ゼロックスのヒアリングを行った。

こうしたヒアリングの結果、外資系企業といっても、比較的古くからわが国で営業をしている企業(たとえば、富士ゼロックスなど)は、わが国大企業の人的資源管理に近いパターンであり、それに対して、近年わが国に進出した企業(日本テキサスインストラメンツ、ジョンソンアンドジョンソン)は、比較的親会社の人的資源管理戦略が、日本のオペレーションでも引き継がれていることがわかった。その理由は、企業がグローバル化のなかで、全世界共通の枠組みで、人的資源管理を行っていく方向を強めているためであると思われる。また、わが国の労働市場が多少でも変化し、グローバル企業が中途採用など、本社での人的資源管理システムをそのまま採用しやすいようになったこともあるようである。

 

 

T.「市場理論」に関する研究プロジェクト

Factor Productivity in the Structural Change ",presented at

Taipei International Conference on Efficiency and Productivity

Growth,ROC, June 20-21,

Productivity: How to Evaluate Impacts of New Technologies on TFP Growth ",presented at the Workshop on Conceptualization,

Bank of Japan, on July 22,

U.「労働市場理論」に関する研究プロジェクト

2025年の日本システム ()年金総合研究センター

Labour and Management in Transition,London:Routledge.

and Management in Transition ,Routledge.

Policy:Married Woman in the Japanese Labor Supply ,U.S.-

Japan Womans Journal.

after Childbirth : Evidence from the United States, Britain,

and Japan. The European Society of Population Economics.

Association.

Microdata of Labor and Production in Japan,”Economic Research Institute, Economic Planning Agency, Discussion Paper No.79.

[労働市場における賃金較差と分配の計量経済学的モデルの構築] 労働市場の雇用・賃金の決定とその変動の機構を明らかにする目的のために、家計の労働供給のモデル、労働市場の順位均衡モデルの具体化の作業を進めている。 かつて日本においても経験されたように、経済発展過程における自営から雇用への就業形態の変化を叙述するために、家計の労働供給のモデルでは、自営就業、雇用就業の確率にかんする資料発生機構が、自律的理論構成によって示される。ここでは、労働供給の主体を抽象的な「個人」とするのではなく、家計の構成員を労働供給の主体として理論が構成されている。この理論構成は、近代の経済発展過程において見いだされた、ダグラス-有沢法則として叙述される観測事実に基づいている。同時に、家計の労働供給理論における理論的課題は、第一に、所与の賃金率に対する最適労働供給時間決定の機構、第二に、特定の就業機会への就業を受諾するか拒否するかを選択する機構、の2点を統一的な理論構成によって明らかにすることである。経済発展の過程においては、就業形態の著しい変化が観察され、自営就業の減少と雇用就業の増大が見られた。家計の労働供給の当該モデルにおける理論構成は、以上の観測事実を一般的に叙述するという要請にこたえることのできる体系として、最も自律的である。

他方、労働市場の順位均衡モデルは、上述の家計の労働供給理論をふまえ、経済発展過程における在来部門や近代部門などの部門間の賃金較差の発生を叙述する。労働市場の順位均衡モデルでは、雇用主から見た労働の選択順位の概念が導入され、その分布関数が設定される。観測によれば、雇用される者の性、年齢、教育年数等を一定としても、賃金較差が存在する。この賃金較差の発生は、求職者たちは賃金(および労働時間)等の就業条件の比較的良い企業に優先的に応募し、企業からみて選択順位の高いものが選択され、その結果生ずると考えざるを得ない。これは(1)(応募)労働者は企業側からみて、等質的ではなく選択順位の高低がある(ただし、その他の人間品位の高低等を意味するわけではない)こと、(2)企業間で、選択順位においてより高質のものをめぐって競争があることを示している。

家計の労働供給のモデルは労働市場の順位均衡のモデルと併せて、多様な経済発展段階において観測される就業と分配の変動を、一般的に叙述することができる。これらモデルの具体化と検証についての最近の結果は、故小尾恵一郎氏との共著の書物(1998年2月刊行)に示されている。

以上の研究成果においてはじめて明らかにされた点も多いが、他方で、それらの成果をふまえて更に解明されるべき点が見いだされた。

第一に、測定された所得-余暇の無差別曲線の形状を時系列的に比較すると、無差別曲線が、観測期間において一貫してより余暇選好的な形状にと、徐々に時系列的変化をとげてきたことが明らかに観察される。この所得-余暇の無差別曲線の時系列的変化の傾向は、所得-余暇の選好にかんする習慣形成効果の存在を示唆していると考えられる。習慣形成効果を検証可能な形で設定することにより、ここで観測されたパラメタの時系列的変化の傾向が、簡明な理論構成によって叙述される可能性が開かれている。

第二に、核所得が比較的高い階層では家計の妻の供給確率の観測値が大となり、観測値が理論値よりも著しく上方に乖離している。この上方への乖離は、核所得階層が高い家計のグループでは、賃金率が平均値よりも高い就業機会に当面している妻の比率が、より低い核所得階層の家計グループにおける比率よりも著しく大きく、そのために、高い核所得階層では妻の就業確率の観測値が上方に乖離すると理解される。この点は労働市場の順位均衡理論(賃金較差理論)の図式に則して理解するとすれば、核所得者の選択順位指標とその家計の非核所得者(妻)の選択順位指標の値が、統計的に独立に分布するのではなく、これらの間に高い正の相関があることを示唆していると考えられる。

第三に、核所得が極端に低い階層においては非核所得者の内職就業率、

雇用就業率ともに観測値が理論値よりも著しく下方に乖離している。この観測事実はおもに以下の2つの視点から理解する必要があると考えられる。

    1. 労働市場の順位均衡理論の図式に則した視点。すなわち、核所得の極端に低い家計のなかには、その家計の核所得者の選択順位指標が選択順位指標分布の下限付近に位置し、その結果として核所得者は賃金較差の下端に近い就業機会しか得ることができなかった、という理解である。したがって、家計核所得者の選択順位指標と非核所得者の選択順位指標とが、それらのあいだに高い正の相関をもって分布しているとすれば、核所得が極端に低い階層の核所得者の家計に属する非核所得者の選択順位指標分布が、他の核所得階層の非核所得者の選択順位指標の分布よりも下方に位置している、と理解できるのである。このばあい、非核所得者の多くは就業機会の賃金率(内職就業機会の場合には所得創出率)が低すぎて就業を拒否したか、あるいは就業機会から排除されてしまったという非核所得者の比率が、他の階層の家計におけるよりも多く、このために有業率の観測値が理論値より著しく下方に乖離した、と考えられるのである。
    2. 就業して得られる家計所得が所得の最低必要量に満たない家計が、核所得の極端に低い家計のなかに少なからず混在している可能性が考えられる。このような家計では、非核所得者はその当面する就業機会にたとえ就業したとしても、得られる所得を核所得者の稼得する所得と合計してもなお所得の最低必要量に満たないために、就業をあきらめて社会補償給付によって生活するという選択をせざるを得ないであろう。

以上が、今年度の研究活動の主な成果である。今後は、労働市場の順位均衡モデルを、国民経済の体系と接続する作業を継続し、経済発展の進行と分配の機構についての検討を進める予定である。さらに当該モデルを軸として、不完全競争的な市場における資源配分を叙述するために必要な理論構成と、適切な計量経済学的な方法にかんする研究も併せて進める予定である。

 

V.「投入−産出分析」に関する研究プロジェクト

国際産業連関プロジェクト

 

KEO DISCUSSION PAPER,No.3.

 

W.「国際貿易・直接投資」に関する研究プロジェクト

1.為替変動と内外価格差

  これまでの研究成果をとりまとめ、以下の形で出版した。

under the Yen Appreciation." Journal of the Japanese and

International Economies 11(December): 611-641.

2.WTO(世界貿易機関)と世界経済

  これまでの研究成果を以下の本に盛り込んで出版した。

ルールとは』日本評論社。

3.企業活動の国際化と地域主義

  文部省科学研究費の助成を得て、1997年11月、中国(北京・天津・煙台・上海)におもむき、南開大学その他の研究者と議論を行う一方、日系・韓国系進出企業を訪れて、企業活動の国際化と地域主義に関する調査を行った。

 また、一昨年度に開催した慶應義塾大学・OECD Development Centre共催Japan-Europe Symposiumの成果を以下の形で出版した。

Beyond Competing Regionalism, Brighton: Sussex Academic Press.

  その他、以下の論文を発表した。

 

 

第48巻、第1号(第55回国際経済学会全国大会報告号「世界経済

の一体化と日本企業の国際化」)

4.サービス貿易と直接投資

  近年のサービス貿易をめぐる新たな進展を踏まえ、佐々波楊子・浦田秀次郎著『サービス貿易』、東洋経済新報社の全面改訂のための研究・作業を行った。

 

X.「環境」に関する研究プロジェクト

このプロジェクトは、未来開拓学術研究プロジェクトの成果としてまとめられている。

 

Y.「不確実性下の経済行動」に関する研究プロジェクト

このプロジェクトは、財・金融・証券・労働など不確実性が支配する市場一般を分析対象として、各市場参加者の取引行動の結果としてどのように均衡価格が成立するかについて実証的に明らかにすることを目的として、平成6年度から開始された。

9年度のプロジェクトの活動は、商品先物とオプション市場における価格形成メカニズムの分析を中心に行われた。また、前橋乾繭取引所からの委託研究「野菜指数の商品先物取引上場に関する可能性」の分析作業が昨年度も継続して行われた。

 

 

本ファイナンス学会にて報告(5月24日法政大学)。

Traded Option on Discretely Traded Commodity Futures Contracts,”Journal of Futures Markets,Vol.17,No.6 September, pp.633-666.

慶應義塾大学出版会.10月,vi+260pp.この書物は「不確実性下の経済行動」プロジェクトの成果の一部をまとめたものである。(執筆者:岩田暁一、藤原浩一、砂田洋志、熊谷善彰、新井 啓)

 

3部門合同プロジェクト

 

「労働市場と規制緩和」に関する研究プロジェクト

平成8年度に引き続いて、労働市場の規制緩和の諸問題について研究会議を行い、以下の点について討議した。

  1. 米国における航空業の規制緩和と労働市場への影響
  2. わが国における労働法制の規制緩和について

  1. 就職協定撤廃と新しい就業体験システムについて

 

こうした研究討議を踏まえて、昨年度は中堅サービス業 2,000社を対象にして「労働市場の変化と労働法制に関する調査」を実施した。(回収率30%)。調査内容は、以下の通りである。

  1. 整理解雇
  2. 残業時間
  3. 深夜業
  4. 労働契約の期間
  5. 違約金
  6. 裁量労働制

 

なお、3年間の調査研究の成果は、平成10年度に単行書で刊行する予定である。

 

 

未来開拓プロジェクト

 

KEO Discussion Paper

 

No.1 清水雅彦・木地孝之・菅 幹雄(1997),

「製造業における資源再利用(リサイクル)状況の統計整備」

No.2 吉岡完治・菅 幹雄・野村 浩二・朝倉啓一郎(1998),

「宇宙太陽発電衛星のCO2負荷」

No.3 新井益洋(1998),

「国際産業連関データベースに関する考察」

No.4 疋田浩一(1998),

「既存の水道整備と大規模発電所を利用した簡易温水供給システムのLCA」

No.5 池田明由・桜本 光・吉岡完治(1998),

「中国におけるSO排出の実情分析 ――遼寧省瀋陽市と四川省成都市のケース・スタディ―― 」

No.6 新田義孝(1998),

「バイオブリケットの付加価値性の考察」

No.7 清水雅彦・スズキS.ヒロミ(1998),

「多国広域経済圏における『経済と環境』の相互依存関係 ――多国連結国際産業連関表に基づく分析視点――」

No.8 松橋隆治・菅 幹雄・吉岡完治・疋田浩一・吉田芳邦・石谷 久(1998),

「自動車のライフサイクルアセスメント」

No.9 関根嘉香・大歳恒彦・北原滝男・宋 殿裳・橋本芳一(1998),

「中国瀋陽市の大気中粒子状汚染物質の成分分析」

No.10 吉岡完治・溝下雅子(1998),

「中国環境経済モデルの構想」

No.11 新田義孝・鬼頭浩文(1998),

「脱硫コストの予備調査」