SCT(文章完成法テスト)セミナー

第22回セミナー開講ご案内

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SCTセミナーについて

 「企業の財産は人材だ」とよく言われます。適切な採用、教育研修、そして、人事配置はすべて、企業が経済環境の変化に適応し、成長と繁栄を図るために必要不可欠なものと言えます。そしてこれらは、企業に利益をもたらすだけでなく、個人にとっても、成長を促し、生き甲斐や幸福をもたらすことでしょう。

 採用、教育研修、人事配置に共通する点は、「人を見る」ということです。つまり、人材の能力や適性を正確に把握できるかどうかに、これらの成否がかかっているといっても過言ではありません。

 「人を見る」ためには、様々な情報が用いられます。採用の際の履歴書、筆記試験、面接、あるいは、企業内での業績や上司や同僚の評価も重要な情報と言えます。しかし、このような情報をただ寄せ集めただけでは、個人を十分に評価することはできません。重要なのは、これらの情報の断片から、生きた個人の姿を浮かび上がらせることです。このような生きた個人像を把握することから、より良い企業の姿、より良い個人のあり方がが実現されるものと存じます。

 慶応大学産業研究所では、文章完成法テスト(SCT)を、人事をはじめとした、企業内の様々な領域において活用するための研究開発を続けて参りました。そして現在では、単に情報を集める道具としてだけではなく、情報を客観的・科学的に分析・評価し、生きた個人の姿を把握するための手法として、御活用いただけるものと確信いたしております。

 SCTセミナーは、このようなノウハウを企業の皆様に提供する場として、開催しております。

文章完成法テスト(SCT)とは

 私たちは、常に他の人間を理解しながら生活しています。これは、社会生活において必要不可欠なことと言っても良いでしょう。他人を理解する能力は、私たちが知らず知らずのうちに身につけてきたものであり、特殊な場合を除いて、そのための教育を受けるというようなものではありません。少なくとも、そんなことは教わらなくても誰もがやっていることです。

 しかしながら、他者を正しく理解できる人もいれば、あまり他人が分からない人がいるのも事実です。また、他者を正確に理解することが求められ場面もあります。例えば、企業における採用や人事配置、臨床的・教育的な相談などがそれにあたります。このような場面において、個人を誤って理解すれば、その個人や組織に重大な損失を与えることにもなりかねません。

 しかし、いくら他者を理解する能力に恵まれた人でも、適切な情報が得られなければ、適切な評価や判断は出来ません。一方、それほど能力のない人でも、十分な情報とそれを分析する方法さえ与えられれば、それほど誤った判断には至らないはずです。そういう意味では、適切な情報を収集し、その情報を分析するための方法を修得することが、他者を理解するための近道と言えるでしょう。このような方法の1つとして、“文章完成法テスト(Sentence Completion Test, SCT)”は開発されました。

 文章完成法テスト(SCT)は、「子供の頃、私は」といった文章の書き出しだけを示して、思いつくことを自由に記述させるというものです。書き出しは全部で60項目あり、個人のトータルな人間像を把握できるように工夫されています。SCTは、昭和30年に世に出て以来、企業、病院、学校など、様々な領域で広く用いられてきました。このような実績が、このテストの有効性を物語っていると言えるでしょう。

 ところで、世の中には心理テストと呼ばれるものがたくさんあります。知能検査をはじめ、クレペリン・テスト、ロールシャッハ・テスト、Y-Gテスト、職業興味検査など、様々な心理テストが様々な目的・場面で用いられています。SCTも広く言えば、このような心理テストの1つと言えます。しかし、SCTは他のテストにない特徴を持っています。

 その1つは、個人の全体像、すなわち、トータル・パーソナリティの把握を目指している点です。他のテストは、個人のある1つの側面に焦点を当て、それをなるべく深く把握できるように作られています。例えば、知能検査は、知能的な側面に焦点を当てて作られており、知能を知能指数という形で正確に把握することが出来ます。しかし、これを用いて性格や興味を把握することは困難です。SCTは、知能、性格、意欲、興味・関心、生活史、人生観、心の安定性なども含めた、トータルな人間像を把握できるように工夫されています。個々の側面について必ずしも深く把握できるとは限りませんが、これらの情報から広く、全体的にその個人のパーソナリティを浮き彫りにすることが可能となります。

 SCTのもう1つの特徴は、スコアリング(得点化)を行わない点です。多くの心理テストは独自のスコアリングの方法を持っています。中には、単にマニュアルに従って集計するだけで結果が得られるものもあります。このようなテストは、特別な訓練も必要とせず、使い易いものです。しかし、その結果は、あくまでも統計的な数値であり、生きたパーソナリティとは言えません。

 スコアリングを行わずにどのようにしてパーソナリティを把握するのでしょうか。SCTは、実のところパーソナリティを把握するための情報を得る道具であり、それ自体がパーソナリティを評価したり、判断したりするものではありません。たとえて言えば、カメラが個人の姿をフィルムの上に固定するように、SCTは対象となった個人のパーソナリティを紙の上に固定するものと言えるかも知れません。個人の姿を立派だとか美しいとかを判断するのが、写真を見た個人であるのと同様に、パーソナリティを評価したり、判断するのは、あくまでもSCTを読む個々人ということになります。

 従って、SCTを用いてパーソナリティを理解するためには、SCTに表された情報から、生きたパーソナリティを再現し、それを客観的に判断する能力を身につける必要があります。これは、単に集計方法をマニュアルに従って覚えるというわけにはいきません。熟練した講師の下で、SCT評価の経験を積むことによって初めて可能となります。さらに、このようにして身につけたパーソナリティ理解の能力は、SCTで得られた情報に限らず、あらゆる場面で他者を理解する上で役立つはずです。

文章完成法テスト(SCT)セミナー(入門コース)

 当研究所のSCTセミナーは昭和42年に発足し、このセミナーの修了者は既に500名を越えています。セミナーの講師は、当初、精研式SCTの開発者である佐野勝男・槇田仁の両博士が担当しました。両博士は、パーソナリティに関わる多くの研究を続ける一方で、SCTセミナーの講師として多くの人材の育成に当たってきました。このような永年にわたる研究と教育の成果が、このセミナーの礎となっています。

 SCTは、それ自体がパーソナリティを評価したり、判断するものではなく、パーソナリティの全体像についての情報を得るための道具です。つまり、このセミナーの目的は、このようにして得られた情報から、生きたパーソナリティを正確に把握する能力を養うことにあります。

 このセミナーのカリキュラムは、具体的には3つのステップから成っています。第1のステップは、パーソナリティの理論的な理解を目指します。ここでは、心理学や精神医学の研究成果に基づいたパーソナリティ理論を学ぶだけでなく、企業における人事評価の問題、さらには現代社会におけるパーソナリティ理解の問題についても考えます。このような知見を得ることによって、人が人を理解するということがどういうことなのかを理解します。

 第2のステップでは、SCTによるパーソナリティ評価の基礎的な知識を身につけます。ここでは、SCTの事例を用いた練習を通じて、基本的な評価方法を時間をかけて修得します。さらに、SCTの基本的な性質や評価を行う際の留意点などについても解説します。第1~2のステップによって、パーソナリティとSCTについての基本的な知識が修得できるはずです。

 第3のステップでは、SCT事例の評価実習を行います。SCT事例を通じて生きたパーソナリティに触れることで、本当の意味での生きたパーソナリティ理解の知識を修得します。また、このような実習や他の受講生との討論を重ねることで、知らず知らずのうちに持っていた対人理解の癖や傾向が自覚でき、より客観的なパーソナリティ理解に近づくことになります。

SCTセミナーに関する質問等につきましては、産業研究所事務室までご連絡下さい。